第参章†運命の出会いPART2“影に追われる少女”†

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――百合の塔、それは城壁都市ドリスの中核を担う建物である。 魔術という概念が存在するこの世界ではそれ絡みの事件が発生する、それを処理するという理念のもと設立された、自警組織リリィである。 その本拠地が百合の塔だ。 今では魔術師育成、魔術師への仕事の依頼の斡旋などを行っている ‡‡‡ [百合の塔、情報データベース] 此処はリリィに魔術師として登録されている者達の私書箱が設置されている 「さて、二週間の間にどれだけ依頼が入っているか」 ジョエルは椅子に浅く腰掛けると機械を起動させる。 すると、ジョエルの前に青白く光る球体が現れる 「ジョエル・V・シルヴァーグ」 『声紋、魔子構成照合完了。本人と確認しました』 機械がジョエルと認識した事を知らせる合成音声をながす 『依頼が入っています、確認しますか?』 「頼む」 音声の問い掛けに軽く相づちを打ち椅子に深く座り直す 『なお、依頼は依頼主からの希望で映像通信で行われます』 「わかった繋げてくれ」 了解しました、という音声が流れると球体の表面から長方形のモニターの様なものが浮き出る 『久しぶりだな、ジョエル』 「今更、俺に何の用だ? ヴァーネット」 そこに映ったのは漆黒のローブに身を包み顔には円形で三つの穴の開いた奇妙な仮面を付けた男だった。 一切表情の伺えないその男は警戒心を抱かせるには十分な姿をしている 『何って、依頼だよ急ぎのね』 そう言うとヴァーネットは仮面の奥で笑った
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