第壱章†介入者†

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「そんで、旅人さん名前は何ていうんだ? ちなみに俺はジョエル・シルヴァーグ、こっちの手綱握ってんのがレノ・ブラン」 レノは馬車に乗り込む旅人に軽く会釈をする。 旅人はレノの隣に腰掛けてからゆっくりと口を開いた 「俺の名は……レイヴ、レイヴ・テイン」 旅人もといレイヴは静かに名乗った 「レイヴか、短い道中だがよろしく」 ジョエルは手を差し出す、レイヴは戸惑ったように差し出された手を握った . . . 「そういや、レイヴ、魔国に友人が居るって行っていたが貴族か?」 ジョエルは退屈しのぎだろうか、軽いノリでレイヴに問い掛ける 「ああ、魔国の伯爵だ名前は……こちらは禁則事項だから言えない」 そうか、と言うとジョエルはまだ黙り込んだ ――そうだなここで、この世界の説明をしておこうか。 この世界は“魔神国”と“聖王国”の二つに割れている。 因みに俺等が居るのは聖王だ。 魔神国とは白き夜空に黒い月が浮かぶ闇の国。 聖王国とは蒼き空に太陽が浮かぶ光の国。 ああ、言い忘れていたが世界が二つに分かれているからと言って決して二つの国の仲が悪いと言うわけじゃないむしろ友好関係にある。 魔国では植物が育ちにくく。 聖国では魔力を纏った製品は造れない。 このどちらも両国には必要不可欠で、その二つの物品の売買で勢力バランスを取っている ………と、これは教科書通りの回答だ、ぶっちゃけ聖王国国王と魔神国の貴族達の関係は良好だということがこの勢力バランスを保っている最大の理由だ、魔具と食料はその関係を象徴する取引にすぎない。 まあ、魔子のの薄い聖国が体に合わないという理由だけで魔国にすんでいる貴族さん方が殆どなんだが 「ジョエル、城壁が見えてきたよ」 レノの声でジョエルは幌から首を出し呟く 「何時見てもでかいな、城壁都市ドリス」 感慨深気に呟いたジョエルをレノは複雑な表情で見つめ、レイヴは急に黙ってしまった二人を不思議そうに見つめた ――そう、このドリスで俺は避けられない運命と向き合い、大切な人を見つけると事になる……。 その時まだそんなこと夢にも思わなかったのだが
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