第弐章†運命の出会い†

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「やっと入れた、流石に閉門前は人が多い」 うんざりしたようにジョエルは呟く 「仕方ないよ、誰だって城壁の外での野宿は嫌だろうし」 レノは慣れたようにジョエルを宥める 「レイヴは宿は決まってる?」 ぶすくさ言っているジョエルを放置しレノはジョエルに問い掛ける 『まだ決めていない』 レイヴは無愛想に答える 「じゃあ、僕らと一緒の宿にしないかい? この時間ならどこも満室だろうし」 宿を紹介してあげる、そう言っているのである 『しかし、さすがにそこまでは、悪い……』 「野宿は嫌だろ、他の宿は絶対空いてない」 ジョエルが有無を言わせない口調で言い切る 『……解った、今回は甘えさせていただこう』 ――コイツは何を言っても引っ張っていかれそうだ、疲れる前に従うのが良さそうだ 軽く肩を竦め町並みを見渡す。 幅の広いメインストリートの両脇には青果店やブティック、お洒落なカフェ、茶目っ気の効いた看板を掲げる食堂や、高級そうなレストラン、その他多種多様な店が並んでいる。 どの店も共通して活気と笑顔に満ちている 『まるで中世だな』 レイヴはボソリと呟く 「ん?何か言った?」 レノが首を傾げながら聞いてくる 『いや、活気があるなと思ってな』 レイヴは誤魔化すように言った 「魔国に比べたらね。 確かに他の町より貧富の差もないし、かなり豊かで活気のある町ではある」 「そして、この町が豊かである最大の理由は………」 ジョエルが首だけを幌からだし喋り始める 「街の中心にある“百合の塔”そしてその地下深くに存在する、魔導師育成機関“リリィ”が設立し魔導師の育成と魔獣討伐を目的とした組織“ホワイト・ガーデン”の存在だ、あれが在る限り此処は栄える」 そう言ってジョエルは苦しげな表情を浮かべた 「さて、もうそろそろ宿に着くよ二人とも準備して」 暗い雰囲気を吹き飛ばすようにレノは明るい声で言った
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