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「んんっ…ふ…ぁ…あぁ!」
決して狭くはない部屋を色つける女の様な甲高い鳴き声と衣擦れ…そして、肌の重なる音…
音源は、未だに陽の射さない部屋の隅にいる…
半端に肌蹴た忍装束から白い艶めかしい身体が覗き暗い闇の中に浮かび上がる…
「あっ…はぁん…ふぁあ…」
壁を背にして座る男、片倉小十郎の身体に跨がり啼いているのは、真田の忍頭、猿飛佐助…
「………」
自ら快楽を求める佐助の姿を小十郎は、ただ静かに見詰めていた。
「んっ…あっ、旦那ぁ…」
何の意味があるのか不明な行為が始まってから初めて佐助が小十郎を呼んだ。
この忍は真夜中に小十郎の元に現われた。
特に何の関係がある訳ではないはずだ…
奥州と武田は、現在休戦協定を結んでいるというだけ。
『…ねぇ、協力して?』
どこか焦点の定まらない瞳のままそう呟いた。
「…一体、何なんだ…?」
それは、この状況に対してか又は何故この行為に己を選んだのかという事に対する疑問か…
視線を絡ませ、佐助は微笑しながら答えた。
静かに小十郎の首に腕を回し耳元で囁いた。
「――――」
その言葉を小十郎は、静かに受け止めた。
答える変わりに口付けを佐助に贈った…
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