第3章 不倫の境界線

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カランカラン………とドアがしまる音がして、秋生は唖然としていると、 「お……お待たせしました。チキンピラフと、エビピラフと、ハンバーグ…です」 と言って、ウェイトレスが食事を運んできて、秋生は更に呆気にとられた。すると、少し奥のテーブルに、背を向けて座っていた男が、ゆっくりと立ち上がり、秋生に歩み寄ってきた。 「今の話し、どういうことだ?」 と彼が尋ねると、秋生は顔を上げて、 「け…渓伍さん?!」 と言って驚いて目を丸く見開いた。そこにいたのは、動揺の眼差しを隠せない渓伍だった。 * 閉店後、私は売り場で片付けをしていると、そこに渓伍がやってきた。 「終わった?一緒に帰ろうよ」 と言うと、私はそんな渓伍を見て動きを止めた。 「渓伍。……やっぱり、別れよう」 と私が唐突に切り出すと、渓伍は驚いて私を見つめて歩み寄ってきた。 「…なんで?」 「だって渓伍は、私なんていなくても平気でしょ?」
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