緑虫

7/10
前へ
/88ページ
次へ
その日の夜、私は一緒エスカレートで入ってきたSと電話で話をしていた。やはり盛り上がったのはクラスの男子のイモさとMちゃんのことだった。うちらも当時はイモの分際でよく言ったもんだ。今なら分かるのに。 Sとは中学では一番仲良く親友的存在だった。共通点も全く一緒でマンガ好き、価値観も一緒だった。『うちらも化粧してMちゃんみたくなりたいよね☆』 Sはそう言った。 私は素直にうんとは言えなかった。私より目立つ人が同じクラスにいてはいけない。今思えば妬みだったな(笑) 私はSの話を変えた。 『私明日ストパーかけようかな。』 Mちゃんのサラサラヘアーに私は一目惚れした。そうなりたいと私はどこかで思っていたのにあえてそこを伏せ、自分の提案のように言ったつもりだった。でもSは私の心中を貫いていた。 『私もかけたい!Mちゃんみたくなりたいし』 後半は余分だと思いつつ私はSとの電話を切った。 私より目立つ子を蹴落としてやる。 幼い私の心はなぜか変な方向へ暴走した(笑)
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加