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「オカマなんだけど、心術で体型も声も変えてるから全く違和感が無い」
「この設定、忘れられてるんじゃない? ぶっちゃけ忘れてもらっても支障は無いんだけどね」
「ホントにぶっちゃけたな……。ヴァースの師匠として、八年間、心術を教えてきたんだよな。今ではヴァースのほうが心力は上らしいけど、神の力も持ってないのにあの力は凄い。っていうかまともに戦ったら神の力を持ってる奴でも負けそうだ」
「世界に唯一人、大心術師の称号を持つだけはあるわね。でも最近、ヴァースさんにその称号を譲ろうと考えてるらしいわ」
「ラクしたいだけだろ。大心術師ってのは色々と大変らしいから。心術に関するイベントに呼び出されたり、心術の講義をやらされたり、弟子にしてくれって奴が大勢集まったり。正直、面倒だと思うよ」
「どうしてバールゼフォンさんはヴァースさんを弟子にしたのかな? 噂では、弟子はとらないって聞いたんだけど」
「気に入ったからだろ。それより俺は年齢を隠す理由が解らん」
「もしかして物凄いお婆さんだとか」
「‘お爺さん’な。もはやお前も忘れてるじゃないか。その仮説はありえる、もとい、ありがちだ。素顔を見てみたいなぁ」
「一つ質問なんだけど、心術って何のために生み出されたと思う? 文献を読んで知ったことだけど、心術の起源は遥か数万年前、古代文明人類が神によって滅ぼされ、次に創られた『現行人類』という、つまりは私達の祖先に当たる人類が誕生したのとほぼ同時期にあるとされているの」
「……話が長くて解りづらいな」
「もう、要するに、心術は大昔に生まれたのよ。ここで変なのは、そんな大昔に心術なんてものがなぜ生まれたのかってこと。誕生したばかりの現行人類は、心術どころか火もろくに使えなかった。そんな人類が、心術なんて高度な技術を生み出せるはずはないの。世界の歴史学者達は頭を悩ませてるけど、私達には解るよね。きっと神々が人類に心術を与えたのよ。その理由が解らない」
「む、難しいぞ……。バールゼフォンに訊いてみれば? 何か知ってるかもよ」
「それが早そうね。次に行きましょうか」
【顔面アップ】
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