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「『はぴすと』?」  私はそのケータイ小説のタイトル名を口に出してから頭の中でぐるぐると考える。でも、どう考えてもタイトルから内容が読み取れない。私の『ひとつのシンジツの愛』は誰が聞いても読んでも恋愛がテーマって分かるじゃん。でも、『はぴすと』? 何かの略?  よく分からないけど、とにかくこの『はぴすと』がケータイ小説サイトの『天使の本棚』のケータイ小説ランキング一位を二十日間取り続けているみたい。私は毎日ひたすらにがんばって宣伝や裏工作みたいなことをして、ついにランキングの二位まであがってきた。けっこうちょろいじゃん? と思っていたけど、この ケータイ小説だけは抜かすことができない。あと、この小説を抜きさえすれば一位になるのに!  しかも、この『はぴすと』って小説あと十日で書籍化して賞金ゲットじゃん! 私よりも先に! 悔しいし、それにこの『はぴすと』が賞金取っちゃったら、次の私がもしかしたら書籍化しにくくなるかもしれないし、最悪! そんなの嫌じゃん、どうにかしないと! それで、すぐ思いついたことは私の方法で一位にな れないなら逆にこのケータイ小説のランキング順位を落とせばいいってこと。そうすれば私のケータイ小説の順位は自然と上がるし、それで書籍化を狙えばいいし。 「でも、これはフツーに人気がある作品みたいだし、どうしよっかなぁー……」  私とは違って、普通にケータイ小説を書いて、それを読んいる人の口コミとかで人気になってるみたいじゃん。レビューとかを見ると、そんな感じだし。  うーん、とどうしようかと唸って考えると、ひとつの名案が浮かんだ! というか思い出した! 名案というか、一つだけしかない方法。たしか、このランキングは投票とか閲覧のポイントで順位が決定されるわけだから、見ている人が小説を見れないように、投票をしないようにすればいいじゃん。  そのためのちょうどいいサービスを私は知ってるわけだし。ってか、最初から作戦のひとつとして調べておいたし。学校のパソコンで投票ってだけじゃあ心配だったし。  それで、私が利用するつもりなのは『荒らし屋さん』というサイト。友達から教えてもらったサイトで、五百円さえ払えば徹底的に指定のサイトや掲示板を荒らしまくってくれるというやつ。今まで友達も気に入らない人のブログとか潰したらしい。信頼できるプロみたい。
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