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「晴海~、見てくれた~? すごくなぁい? マジヤバなんですけど! あと少しで一位じゃん? あとちょっと、あとちょっと」  私は学校に着くなり、自分の席で文庫本を読んでいた晴海に飛びつくように話しかけた。  嬉しさを分け合いたかったし、っても晴海も今幸せな時期だから二人で大喜びしたかった。私は完全な幸せまでは遠いけど、いいじゃん? もう一位は取ったみたいな感じだし。  すると晴海は読んでいた文庫本をから目を逸らして、冷たい視線を私に向けてきた。 「……そうね」  あれ?  何か、違わない? いつもよりイメージ的に何か冷たいし。片思いし続けた男の子を彼氏に出来て晴海も幸せ絶頂じゃん? おかしいじゃん? 晴海は淡白な時はあるけど、タイミング的におかしいって。  この前まで幸せそうだったじゃん。また違った意味で変だし。意味分かんない。 「晴海、どうかしたの? もしかして、早速ケンカとか?」 「違うけど。美奈、それよりケータイ小説の方、あと少しで一位、頑張って。正直、思っていたよりもすごいと感じているよ」  眼鏡の奥にある目を細めて、私を見てくる晴海。何か怖いんですけど……。変じゃん、おかしいじゃん。  でも、なんか触れたらいけないような感じがするし、どうしよう……。 「あー……うん」 「それで、一位の人は書籍化まであと少しみたいだったけど、どうするの? とりあえず書籍化を待って、それから一位になる?」 「ん……それは待ってられないし、もしかして連続で書籍化ってのは向こうの都合に悪いかもしれないじゃん? そうなって書籍化しにくい状況になったら嫌だし、今の一位の人を抜いて私が一位になる予定っ。それに私より先に百万ってのも何か嫌だし、負けたくない、みたいな? そんな感じ~」  指をふいふいと振って今後の予定を伝える。ってか、もう一位の『はぴすと』は消えてもらうし。お邪魔小説ばいばいってね。 「そう……」  晴海は少し呆れたような、溜息混じりの声で沈むように答えた。  もしかして、自分が予想していたよりも私があっさりと百万に近付いてることにショックを受けてるのかなぁ? 晴海は私がケータイ小説を書き出す時にけっこう私のこと呆れた目で見下すような感じだったし、それに疑ってたし、それがこういう風になっ て晴海としては気に入らないのかも。
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