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「もう明日か明後日には私が一位になるはずだから。今の一位は今日にでも落ちてもらうってか消えてもらうじゃん? 人気あるみたいだし、読んでる人が私のケータイ小説の方に流れてくるといいな~」 「……消える? あれ、美奈って投票で順位上げてるから、消すってどうするの? どう考えてもおかしいと思うんだけど」  そっか。晴海にはまだ教えてなかったんじゃん。だから、私は早速賢い作戦を教えた。  『荒らし屋さん』に頼んで、『はぴすと』を潰しているってこと。この方法は確実だし、効果的じゃん。私が誇らしげにそのことを話していると、晴海は「うん」も「はぁ」も言わず、私の言葉だけを熱心に聞いていた。  そんなに驚いてるのかなぁ、それとも感心してるのかなぁ? と晴海のちょっといつもと違った反応に私は嬉しくなった。  あのいつも落ち着いてる晴海がこんなにもへこむなんて。いろいろうまくいきすぎて自分を褒めたい! 「ってことで、『はぴすと』はランキングから完全に消えちゃうわけじゃん? 誰も見れない、投票できない状態で一位にいることは無理だし。もし、別に復活したらまた頼んで潰せばいいし。もう一位から落ちたら戻さないし戻させないから」  胸を張って、晴海に言い張る。ここまで来たんだから、後は書籍化して百万円を貰うしかないじゃん。  それからもいろいろと考えてるけど、今は目先の書籍化を完璧にしないとね。私だって本気でやってるわけだし。 「それで……書籍化して、美奈は目的達成ってわけね」 「そうそう、嬉しいじゃん! 百万円! 書籍化! ケータイ小説ってこんなにも簡単って自分でも驚き~」  くふふ、といやらしい笑いをすると、晴海は興味を失ったのか、怒ったのか分からないけど、目線を逸らして何か考えるような仕草を見せた。  私はこれ以上ごちゃごちゃ言って、晴海と仲良くなるのが嫌だからそこで話すのを止めて、自分の席に笑顔を少し残したまま座った。  晴海も自分の予想が外れたからってこんな態度を取らなくてもいいのに。晴海も子供っぽいとこあるじゃん? いつも冷静、クールキャラなのに。そう思うと、少し笑顔が増した。
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