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《タイトル》《ひとつのシンジツの愛》 《紹介文》《この小説ゎ私の体験から書きました。ぜんぶ実話デス。ホントの愛をしってるヒトもそうぢゃなぃヒトも読ンで下さい。 実話だカラこのぉ話はまだおわらないケド……私の“愛”をしってほしぃ。》       何とか考えた文章を打ち終わったところで、私は確認ボタンを押して、さらに続いて掲載OKのボタンを押した。それを終えて、無事私のケータイ小説が公開されたことになる。まだ、表紙だけで中身は全く書かれていないけど。それでも、大きな一歩を踏み出したとも言える。 「よしよし、この調子でやっていこっ」  中身はこれからちょっとずつ書いていけばいいし、それと同時に人気もちょくちょく上げていけばいい。そうやって、私の最終目的に辿り着こう。もう、だいたいのことは考えてあるし、問題なし。 「美奈、本当にやるの?」  私のケータイを後ろから覗き込むように見ていた晴海が細い眼鏡を光らせて、私に聞いてきた。私は椅子の上で体を反転させて、晴海のほうを向く。 「当ったり前じゃん。今さらやめるとかありえないし、お金欲しいし」 「そう。でも、そんなに簡単にいくとは思わない。こういうのって相当人気が出ないと駄目みたいだけど」  私はケータイをパチリと折りたたみ、机に置いた。とりあえず、今日はもう更新する気にはならないし、この後バイトだってあるし。 「私には考えがあるからいーの。そういえば、晴海も始めてみない? ケータイ小説。本出すことになったら百万円だよ? やばくね?」 「私はいいわ。美奈みたいにお金欲しくないし。それにしても、その出版に至ったときの賞金欲しさでケータイ小説始めるなんてね……。美奈、バイトもやっているし、一人暮らしとはいえ両親から十分お金をもらっているんじゃなかったっけ? これ以上何にお金が必要なのか私には分からない」  晴海がやれやれといった感じに肩をすくめるけれど、私としては晴海の方が分からない。そんな、お金がいらないという発想が全く理解できない。
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