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 ホント悪いことばっかだし! いいことなんて── 「ああ」  でもケータイ小説は調子いいじゃん。ポイント的にはぶっちぎりで一位だし。  あと二十日間これが持続すればいいわけだし。ホント楽勝。こんなにも楽だとは思ってなかったかな。  クスクスと心の中で笑うと、目の前に黒い壁が現れた。黒い壁。 「ん?」 「ちょっといい?」  見上げると、最近のちょとアレンジ入ったスーツを着た、ちょっとジャニ入った感じの男の人がアタシの行く道を塞ぐように目の前に立っていた。 「今からどこか行くの?」 「え、そういうわけじゃない……けど」 「そ。俺さ、ここらへん詳しいんだけど一緒に遊ばない?」  ナンパじゃん。じろっと一瞬で顔を始めとして一気にその姿を見る。あれ、けっこうイケてるし。普通にモデルとかそういう系な人っぽいじゃん。ちょっと好みかもしれない。 「行こうよ」  あっさりと腕を掴まれて軽く引っ張られる。  よく分からないけど、抵抗する気にはならなかった。晋也のことでムシャクシャしてるし、この男の人けっこうアタシの好みっぽいし、軽い女みたいに見られるのは嫌じゃん? でも、こういうことがあってもいいかもしれないとも思った。  だって、何かがあればいいと思って歩いていたわけだし。いい感じじゃん。   「ん……」  ベッドの毛布の中から手を外に出して、その手をバッグの中に突っ込んでケータイを取り出す。日課のランキングチェクはしないと。  でも、今はベッドから離れたくない。ってか隣で寝ている男の傍から離れたくなかった。  この温もりを感じていたいじゃん? もうずっと隣にいたいくらいだし。  昨日、ホテルに来て、シ た後に「付き合わね?」と言ってくれて、マジうれしかった。ナンパされて、シちゃって、そのまま付き合うなんてぶっちゃけて言えばありえないことだし、軽すぎるけど、ウンメイっぽくていいかもしれないって思う。  もしかして、アタシたちはこうなるウンメイだったのかもしれないし! それに、この人ならかなり本気になっ ちゃいそう。学校にはもう圏外な男しかいないし。そう、これはウンメイ──ウンメイ? 「ん?」
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