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「なによ、これ……」  アタシは目を疑った。朝起きて、さっそくケータイ小説のチェックをすると、ケータイの画面に表示されてることに驚いて、その事実を信じきれない。  ケータイ小説『ひとつのシンジツの愛』が更新されている。  ありえないって、マジありえないって。何なのよ、これ。おかしいじゃない。ってゆーか、これ夢? どう考えてもありえないって! だって、アタシ書いてないじゃん! パスワードが違うって編集のページに入れないし、書くことも消すことも何にもできないのに何で、何で更新されてるわけ? 何で書いてもないケ ータイ小説の続きが書かれてるわけ? どうなってんのよ、これ! アタシ書いてないし!  ムカつくのと、少し不気味なのが混ざって、微妙な感じ。でも、ムカつくのが少し強くて、何かに当たりたい気持ちでいっぱいになる。 「もういいし! 今日も翔にいっぱい甘えるし!」  ケータイをネットからメール画面に切り替える。翔専用のメールボックスを覗くと、翔からのメールがたくさん入ってる。少し前のメールを見ると、好きだ、とか美奈は可愛いよ、といったメールがかなりある。アタシ愛されてるって思える証拠がいっぱいで、幸せになれる。アタシも翔のこと大好きだし、愛してる。ア タシって超幸せな女の子じゃん。 「ええっと……」  最新のメールを見ると、今日は翔の友達が翔の家に飲みに来るから、一緒に飲まないか? って内容のメールだった。今日はバイトもないし、確か「行く行く!」と返事をしたのを覚えてる。ちょっと楽しみで、ワクワクする。翔の友達ってのは少し気になるけど、翔といっぱい喋れればそれでいいや。  アタシはケータイ小説のことを半分くらい気にしながら、学校に向かった。  相変わらず、晴海は学校に来ない。でも、そのことにももう、慣れちゃった。もう二週間経つしね。
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