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「っつーかさぁ、ホストの仕事中も思うが、翔ってSだよな。毒舌っつーかさ、たまに来てる客がカワイソーって思うことあるぜ。ミナちゃんもそう思わね?」
「ん? え? あ、は、はい」
突然太陽さんの視線が向けられ、アタシに話が振られる、ちょっとビックリした。でも、いいチャンスかも。
「ハハッ! だよなぁ~」
「おいおい、ミナにそーゆーことを聞くなっつうの」
缶ビールを一気に飲み干す翔。
あ、翔も結構酔ってきてるじゃん。顔が少し赤くなってるし、いつもと喋り方がちょっと違う。このままいろいろと聞いちゃお。
「太陽さん、翔って仕事中どんな感じなんですかぁ?」
少し体を前に寄せて、太陽さんと距離を狭める。すると、太陽さんもそれに気が付いて、アタシの方を向いて話し始めた。心の中でよし、と思った。
翔は細い目でこっちを見ているけど、いろいろ太陽さんから翔のこと聞いて、後でからかっちゃお!
「っつーかさ、ミナちゃん、こいつけっこうアレだ、アレ。面白いぜ。Sっぽいっつーのは言ったけど、それがムチャクチャでさ、ありえねーしって思うこともあるわけよ」
「え、どんな感じなんですか?」
ちょっと気になる感じ。ってか、ホント翔って仕事のことをアタシに喋ってくれない。ホストで女の人の相手をする仕事だからアタシに気を遣ってるのかもしれないけど、翔がアタシのことをずっと見てくれているってことを知ってから、全然気にしてないし、むしろ翔がどういう風に思って仕事をしてるのか知りたいわ け。でも、翔は全然話してくれない。
だから逆にどんどん気になっちゃう。アタシの知らない翔がそこにはいるかもしれない。そう思ったら、ドキドキしちゃうじゃん。でも、翔の仕事場には行くわけにいかないから……だから、いろいろと聞きたいじゃん。
「この前こいつさ、客に説教されてキレて思いっきりその客に当たったんだぜ、それなのにこいつ、客もSっぽい客で口げんかでボロクソ負けて、また説教されてるっつーか、怒られてたんだぜ」
「おい、その話はするんじゃねぇよ、太陽」
飲み終わった缶ビールの缶の底を強く机に叩きつける。それでも、太陽さんはハハ、と笑うだけで相手してない。ってか、ちょっと照れてる翔が可愛いっ! いつもは見せてくれない表情がかなりいい感じ、マジで。
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