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「……やれやれ。言葉も出ない……。それで、嘘の実話として、どういったストーリーにするの?  あまり突飛な内容だと、いろんな人にいろいろと突っ込まれるものよ。こんな実話なんてあるわけないわよ、みたいな感じに」  それも分かってる。いろんなケータイ小説を見て、こういうのを書いちゃったら叩かれるってことが分かってきた。でも、ある程度人気が出てきたら、そういう批判は自然と出てきてしまうことも一緒に分かった。  だから、そういうアンチに対抗策は自分のファンを多く作っておくことが大事だって思った。数人いるアン チを自分ひとりで相手するのは馬鹿みたいなものだから、自分のファンに相手してもらえばいい。  いっぱい擁護してもらって逆にアンチを叩いてくれるファンがいれば全く問題ない。 「大丈夫だって。最近のリアルっぽい話にすればいいじゃん? リアルって言っても恋愛のことばっかり書いたりとか、ちょっとエッチなこと書いたりとか、文をメールっぽく書いたりとかすればそれでいいらしいんだけど。  主人公はもちろん私で、最初は普通の恋愛をするわけね、同じ学園の男の子とかそういういかにも よくある相手に。でも、一応それも過去っぽくするじゃん?  今までの私はツマラナイ恋愛しかしてこなかったみたいな感じにすればいいし、ちょっと別れ際の泣けるとことか思い出してる感じにして、とりあえず、こんな感じで最初は終わり。ここから運命が動き出すみたいにしてー。  あ、いい感じじゃん? やばくね?」  目の前の晴海は何かダルそうにしているけど、私としては授業中に練りに練って考えたものだし、それなりにいけると思っている。というか、私としてはそれなりにいかないと駄目。出版のレベルまでいかないといけないんだから。 「晴海、続き聞いてよ。せっかく考えたんだから」 「はいはい……」 「そのあとは、渋谷とかで超かっこいいホストにナンパされるわけ。運命的な出会いとか何とか書いて、それでそのままホテル入ってヤって、もちろん当たり前のように付き合い始めるじゃん?」 「はぁ」  ホストってのは重要、何か強くてかっこよくて、それで守ってくれる感じがするし、これだけでそれなりにポイントが高い。
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