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 目線で晴海にそう訴えると、諦めたように力抜けしてやれやれ、とまた呟いた。数秒私を細目で見た後、勝手にしたら、という言葉だけ吐き出した。 「うん。それでさ、私はこのケータイ小説サイトでやってるんだけどー、もしかして晴海知ってる?」  机に置いた携帯を再び手にとって、パチリと開く。ボタンを数回押して、ウェブページを表示させる。私がケータイ小説を書くのに、一番書籍化になるのが簡単で、賞金も百万円もするから、選んだサイト。 「……『天使の本棚』。たしか、一ヶ月の間小説が人気ランキングの一位を保持したら書籍化よね。それなりに有名で、今まで数人書籍化して、人気作品になっていろいろと話題になってるやつね。それくらいは、私も知ってる」  晴海は教科書を読み上げるように、低い声でやる気のなさそうに答えた。 「そうそう。だから、本格的に始まったら、見ていてよ。一位になって一ヶ月きっちり守りきって書籍化して、賞金がっぽり貰うから」  私は携帯をパチリと再び閉じた後、バッグに仕舞い込んだ。もうすぐバイトの時間であることに気づいて、ちょっと急がないといけないことになったから。私は、 「そういうことで、よろしくねっ。それじゃぁ」  晴海に別れの言葉を残した後、私はバッグを肩にかけて、急ぎ足で教室の外に向かった。最後、晴海が何か冷たい表情をしているのが少し気になったけど、それはまた今度聞くことにするとして、今は急ぐことに専念する。バイト先の店長は時間に厳しくて、遅刻するとうざいし。  そのとき、微かに後ろから頑張ってね、という晴海の声が聞こえた。  私は、返事もしないし、振り向きもしなかった。
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