歴史

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 しかし、正しい使用方法もあれば悪用も増えていった。戒は応用性の高いエネルギーであったために、正規の武器とは違った、違法な人間を殺すためだけの戒式の武器、犯罪の手助けとなる戒律の使用。もともと戒は使える人間と使えない人間がいた。使える人間は何も用いずに、戒のエネルギーを変化させること ができた、使えない人間は戒をエネルギーとして何らかに仕組み、応用させた道具を用いてでしか戒を使うことができなかったのである。そして、戒が使える人間が、戒律で犯罪を重ね、戒を使用できない人間は違法な戒律の武器で悪に手を染めた。  この時に『裁の一族』である《ヨウン》がフィロス信団なるものを結成した。古来よりヨウン家は神を崇め、人間たちの罪を贖っていこうとしていた。それ所以、戒を使用した悪を許せなかったのだ。フィロス信団は正規の戒律で悪を懲罰した。平和を守り、秩序を守り、そして神を崇拝するようにフィロス信団は 多くの世界に訴えた。  今では一つの宗教として、世界の秩序を守る組織として、世界各地にフィロス信団は手を伸ばした。それ以降、戒を悪用する者たちと、フィロス信団の戦いは続いている。  世界が安定し始めた時、一つの噂が各世界に広まった。この連なっている世界の最上部はどんな世界が存在し、何があるのだろう、と。もしかすると神がいるのかもしれない、誰もが望むような天国のような世界があるのかもしれない。そして、最上を目指して旅立つ者も現れ始めた。上へ、上へ、希望を持って最 上へと旅立ったのである。その出来事は多くの世界に影響を与え、巻き込み、人々の目標――夢となった。今も、世界には最上に希望を持つ者が多く、上を目指す者たちは増え続けている。
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