序章

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俺が都内にある高校にやってきたのは8月の半ば…夏休みの真っ最中だった。 夏休みなのに学園内には生徒の姿が目立つ。 夏期講習やら部活やらでお嬢様達もお忙しいようだ。ご苦労なこった。 …皮肉が目立つかな。 俺みたいな、普通の高校を普通に卒業したような人間には縁がない場所だ。 なんてったって、ここは私立セレスティア女学園。 全国でも指折りのお嬢様学校なんだから。 一般人お断り。 努力だけで入学できるような学校じゃないのは、誰でも知っている。 俺がいるなんて場違いもいいとこだ。 入り口で警備員に止められ、巡回中の警備員に止められ、そして、生徒達には好奇の目で見られる。 これは拷問だ…。 俺が、もう何度目か分からない溜め息をついた時、俺の名前を呼ぶ声がした。 「おい、コーヘイ。こっちだ、こっち」
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