男はお人好しだった。

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彼女に、また本を描いてあげても良いかもしれない。 そんな事まで男は考えた。 少女は笑っている。 ニコニコと笑いながら、男の本をもう一度読み返している。 「ところで、君は何しに家にきたの?」 そこでやっと、男は自分が問いかけるべき事を思い出し口に出した。 少女は笑っている。 「私は、アナタに壊されにきたの」 少女は笑っている。 男は頭の中で、その文章を訂正した。 少女は狂っている。 さて、狂った少女を目の前にして自分はどうすれば良いのだろう。 男はとりあえず、眠そうに欠伸をした彼女のために布団をひいてやった。 彼はやはりどこまでもお人好しだった。
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