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少女を布団で寝かせ、男はソファに横になる。
もう眠ってしまったかもしれない、相手に、暗闇の中それでも尋ねてみた。
「何で俺に壊されたいの?」
少女は、むにゃむにゃとわけ分からない事を呟いてから
「似てるの。私とアナタ。ピノッキオと私より、似てる」
なんて事を口ずさんでみせた。
ピノッキオとは有名な童話に出てくる、あの人形のキャラクターだろうか。
彼は、睡魔に負けそうになる瞼を必死で持ち上げつつ考える。
確か、最後には人間になる事が出来た人形の話だったと思う。
「早くしないと、私は壊される前に壊れてしまうの。だから、壊してね。早く壊してね」
少女は呪いのように何度もその言葉を呟き、やがては寝息をたて始めた。
ずいぶんと厄介な娘を拾ってしまったものだ、と男は思ったが、何も言わなかった。
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