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壊されたがりの機械人形を拾った男が、少女に命の大切さを教えて少女は改心し、二人は末永く幸せに暮らしました。
なんていう、よくある話だろうと男は思った。
自分は、彼女を壊したりなんてしないし出来ない。
きっと、彼女もそれを分かってくれるに違いない。
だって、たいていの物語はハッピーエンドで終わるのだから。
俺達の人生もハッピーエンドで終わらなければ不公平だ。
男は気づいていなかった。
自分がバッドエンドしか作れない男だという事に。
自分の作るバッドエンドが、彼女にとってのハッピーエンドだという事に。
男は知らなかった。
二日後に、自分が自分の手で彼女を壊す事になろうだなんて。
知る暇もないし、知る余裕もなかったであろう、きっと。
ただ、明日はどんな絵本を描こうか。
そんなのんきな事を考えながら、彼は眠りについた。
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