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「ちょっと、冗談よしてよ」
「どうしよう…動けない、足が…動かない……」
ユカリと呼ばれていた少女はその場にしゃがみ込んだ。
このままだと此処から出られない。
どうすればいい?
私はどうなるの?
不安と恐怖が膨れ上がる。
「ユカリ!」
「大丈夫だよ!ほら」
行こう、と差し伸べられた手。
ああ…この人達がいて良かった、と安心をした瞬間、ヒッと小さな声がした。
少女達が一歩また一歩と後ずさる。
ユカリは状況が掴めずとにかく手を取ろうと腕を精一杯伸ばしだ。
「ぃ…いやぁああああああ」
恐怖に怯えた瞳。それが捉えた影。
見たことが無い…イキモノ。
「な、に?どうして」
私は置いて行かれた。
愕然として視点を真っ白な床に落とす。
しかし、視界は黒に変わった。
何かの影?
振り返ったユカリが見た物。あの二人が逃げた理由が分かった。
「いや…来ないで……」
“スタートしてから5分後に皆さんを鬼が追います。捕まえられたら負けです。”
脳裏を男性の声が駆け巡る。
ユカリの目の前には【鬼】が二匹。
立ち止まれば動けなくなる、すると自然に鬼に捕まる。
捕まえられたら……どうなる?
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