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マキが立ち止まらないようシオリはマキの手を引き一本ずつ後ずさる。
朱音が振り返るとキッと睨まれた。
「……ろ」
「ぇ?」
「逃げろ。早く行くぞ」
走り出す朱音にとにかく付いて走る。
振り向かないで、無我夢中に走り続けた。
「はぁはぁ、っ!光…」
近づいているんだろう。
ゴールに。
「マキ、後少し、だ…よっ!頑張って」
「っはぁはぁ…」
安心した時だった。
影が目の前の床を覆った。
唸り声と足音。
鳥肌が立ち、寒気が全身を包む。
「伏せろ!!」
朱音が叫ぶ。
無意識に朱音の言う通りにマキの頭を抱えてしゃがむ。
瞬間頭上を何かが音を立てて通り過ぎた。
止まったらダメ
逃げなきゃダメだ…
無理に足を動かして前に進む。
鬼がそれを追いかける。
早く、早く…
ゴールに行かなきゃ。
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