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雅人は歩き疲れ、長椅子に腰を下ろした。
雅人:少し歩き過ぎだな。
独り言を呟いて廊下の先に目をやると、見覚えのある少女が歩いて来るのが見えた。
雅人:…見たことある女の子だな。
誰だっけかな…。
少女は雅人の前を通り過ぎようとした時、
看護士:高梨さん、もう出歩い大丈夫なの?
少女:はい…もう平気です。
雅人は2人のやり取りを見聞きしながら記憶を辿って思い出した。
いつも教室で独り本を読んでいた少女。
雅人:高梨…椛…さん!?
思わず声に出して呼んでしまった。
椛はいきなり名前を呼んだ雅人の方を見た。
椛:…?
はい、そうですが…
雅人:俺だよ!!
中学校で一緒だった桜木雅人。
雅人は少し早口で自己紹介をした。
椛:あっ…
雅人:久しぶりだね。
元気にしてた?
椛は少し戸惑いながらも
椛:桜木君は…?
そう訊ねられ、雅人は苦笑いをしながら、
雅人:元気なんだけど…
事故って左足がこの通りなんだ。
椛:大変そう…
椛は左手首を隠しながら雅人の言葉に答えた。
2人は一緒に長椅子に座り、長い時間雅人が語る思い出話に椛が微笑んで聞いていた。
雅人の話が終わると椛は思い出したかのように、
椛:私、明日退院なの。
寂しそうに呟き雅人を見た。
雅人:そうなんだ。
せっかく会えたのに残念だな~。
でも、おめでとう。
あっ、そうだ!!
良かったらさ、メルアド交換しない?
椛:別に…構わないよ。
椛は少し戸惑いながらも嬉しそうに答えた。
雅人:俺が退院したらどっか遊びに行こうぜ。
絶対に連絡するからさ。
椛:うん、待ってるね。
2人は約束し、各病室に戻って行った。
次の日、椛は雅人より先に退院して行った。
少し寂しい想いを残して…
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