「一章」

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和葉の背中を撫でるユイの手が微かに震えている。 ――いったい何が起こったというのだ。 ユイは必死に頭で考えようと努めたが、ショックのためか頭がまったく働かない。 「私がこんな所に連れてきたから……!」 肩を震わせて俯く和葉の体を、ユイは力無く抱きしめる。 「どうしよう。このままじゃ……」 和葉は急に顔を上げると、必死の形相でユイの肩をがっちりと掴んで思い切り揺らした。 「スミレに頼んでた明日の宿題、提出できないよぉっ!!」 「そっちの心配!?」 本能のままにユイは突っ込んだ。 「だって山のような量なんだよ! スミレがいなくちゃ終わんない~……ユイちゃん頭悪いし」 「……あんたね」 ユイは大きな溜め息をつくと、困った困ったと騒ぎ立てる和葉の体を引き剥がし。 ベシッ 思い切り床に投げつけてやった。 顔面強打した和葉は床に黙ってうずくまる。 ぴくりとも動かないところをみると、どうやら気を失ったらしい。 「……呆れた奴」 ぼそりと零して、ユイは重い息を吐いた……その時。
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