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和葉の背中を撫でるユイの手が微かに震えている。
――いったい何が起こったというのだ。
ユイは必死に頭で考えようと努めたが、ショックのためか頭がまったく働かない。
「私がこんな所に連れてきたから……!」
肩を震わせて俯く和葉の体を、ユイは力無く抱きしめる。
「どうしよう。このままじゃ……」
和葉は急に顔を上げると、必死の形相でユイの肩をがっちりと掴んで思い切り揺らした。
「スミレに頼んでた明日の宿題、提出できないよぉっ!!」
「そっちの心配!?」
本能のままにユイは突っ込んだ。
「だって山のような量なんだよ! スミレがいなくちゃ終わんない~……ユイちゃん頭悪いし」
「……あんたね」
ユイは大きな溜め息をつくと、困った困ったと騒ぎ立てる和葉の体を引き剥がし。
ベシッ
思い切り床に投げつけてやった。
顔面強打した和葉は床に黙ってうずくまる。
ぴくりとも動かないところをみると、どうやら気を失ったらしい。
「……呆れた奴」
ぼそりと零して、ユイは重い息を吐いた……その時。
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