「一章」

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「……で、どうしていきなり"幽霊屋敷"なの?」 「行きたいから」 「……」 最早呆れて言葉も出ないユイを気にかけること無く、和葉は焦げ茶色の両目をキラキラと輝かせる。 「前から行ってみたかったんだぁ!」 「あんただけ行ってくれば?」 ユイの冷ややかな言葉を無視し、スミレは穏やかに言った。 「私も行くつもりだよ」 「……和葉に甘すぎじゃない?」 「いえ、そんな事は」 スミレは満面の笑みで答えた。 ユイはもう付き合ってられないと、鞄を掴み席を立つ。 「……二人で勝手に行きなさい」 そう言うと大股で教室の出入り口に向かっていく。 和葉が後でね、と笑って手を振ると。 それに対しユイは、誰が行くか、と怒鳴り乱暴に戸を開けて教室を後にした。 ドシドシと大きな足音が遠のいていくのを聞きながら、和葉とスミレは顔を見合わせてニヤリと怪しげに笑う。 彼女達にはユイを来させるため『秘密兵器』があるのだ。 その発動のため、和葉とスミレはポケットから携帯を取り出した。
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