147人が本棚に入れています
本棚に追加
「……で、どうしていきなり"幽霊屋敷"なの?」
「行きたいから」
「……」
最早呆れて言葉も出ないユイを気にかけること無く、和葉は焦げ茶色の両目をキラキラと輝かせる。
「前から行ってみたかったんだぁ!」
「あんただけ行ってくれば?」
ユイの冷ややかな言葉を無視し、スミレは穏やかに言った。
「私も行くつもりだよ」
「……和葉に甘すぎじゃない?」
「いえ、そんな事は」
スミレは満面の笑みで答えた。
ユイはもう付き合ってられないと、鞄を掴み席を立つ。
「……二人で勝手に行きなさい」
そう言うと大股で教室の出入り口に向かっていく。
和葉が後でね、と笑って手を振ると。
それに対しユイは、誰が行くか、と怒鳴り乱暴に戸を開けて教室を後にした。
ドシドシと大きな足音が遠のいていくのを聞きながら、和葉とスミレは顔を見合わせてニヤリと怪しげに笑う。
彼女達にはユイを来させるため『秘密兵器』があるのだ。
その発動のため、和葉とスミレはポケットから携帯を取り出した。
最初のコメントを投稿しよう!