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彼は笑った
『次会った時 美人になってたら 彼女にしてやるよ』
彼は頭を撫でた
指が震えてた
私は叫ぶ
目の前にまだいる奏に…
『止まっちゃえ!!? 』
『またなんてなくていいから!!?』
行かないで
行かないで
行かないで…
奏が行ってしまう
きっともう
会うことはない
これが最期の時
奏は笑う
『一生彼女になれないじゃん』
(なれなくてもいいから)
『期待しないでまってっから』
(期待なんかしてないのに)
『そんな顔すんなって 元気になりにいくのに』
(嘘つき)
『……………。』
奏はポツリと言う
優しい人の本心を
『時が止まったら…
誰かは苦しくて痛いままだろ…?
誰かは泣いたままだ…
お前も泣いたまま…
だから 進んでいいんだよ
笑顔が似合う美人が彼女になる日を待つから 』
頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜて
『またな』
と車に乗り込む奏
『 美人になったら 奏なんか知らないからね』
『奏もかっこいいままでいてよね』
はははと笑う彼の顔
少し照れて手を振った
大好きな奏
すっごく好きな奏
彼は時を止めないでと言った
優しさと勇気で
彼は外見がどんなになっていても 私が笑っていたら美人になったと褒めてくれるだろう
だから
彼のついた優しい嘘にのってあげる
私が好きだった
優しい嘘つきの為に…
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