檸檬の木
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美紀は夏の陽が落ちるまで、縁側でカタログを真剣に読み込んでいた。 僕は爪を切り終え、夕食の買い出しに出た。 「本当に檸檬でいいのかしら」 さっきまでの自信を失ったように、迷っているという趣きで美紀が言った。 「いいと思うよ」 「思う?」 彼女が強い口調で聞き返した。怒っているみたいだ。 「あなた今、檸檬の木でもいいと、『思う』って言った?」 「うん」 僕は縁側に腰をおろした。
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