檸檬の木

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 僕たちは二人で夕食を作った。  僕が豚肉にパン粉を付けて、美紀がそれを油で揚げた。    縁側に夕食を並べて二人で食べた。僕がビールを注いで、彼女が飲んだ。 「あの辺りに植えよう」  僕はトンカツに檸檬を絞りながら、庭の一点を指さして言った。 「それがいいと思う?」 「それがいいんだよ」    電車が仙台に着くとき、ゆで卵の空は4つ分たまっていた。 「着くよ」  僕は美紀を起こして、網棚から荷物をおろした。ビニールの袋にいっぱい入った檸檬は、まだ生っていない僕たちの木の実だ。 「ほら、起きて」
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