第1話「訪れた、crisis」

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-衛星軌道上- 【戦闘開始から2時間経過】 月の衛星軌道上で激突したユニオンとカオス、両者は激しい戦闘を繰り広げる。 TMA撃墜による爆発や、銃撃戦により舞散る火花が全てを黒染める宇宙を、血のような赤色に照らす。 《こちら第13小隊、1番機。カオスの降下部隊を確認。迎撃に向かう。》 カオス軍の紺と黒を基調とする装甲のカラーリングの主力量産人型TMA 『ロディア』 に対抗するように ユニオンのTMAは潔白、清純を表す「白一色」の装甲カラーリングを採用している。 このユニオン唯一の量産人型TMA 『リムルド』 に搭乗する1番機、遊撃隊パイロットがカオスの降下部隊を叩こうと動きはじめていた。 「了解した。奴ら単機での性能はリムルドとそれほど変わらん!確実に仕留めよ。」 ユニオン艦隊旗艦エリブレントの指令室、中央座席に座るのは、貫禄のある風格を持つ艦長。 艦隊とTMA隊を指揮していた。 《了解。各員、散開。》 艦の前方で陣形を組むリムルド3機は背部のスラスターの出力を上げて散開していく。 「お前達!!絶対に地球に落とすな!」 艦長がそう言い終える前に右後方座席にすわるオペレーターが悲鳴にも似た声を上げた。 オペレーターの目の前にあるレーダー機器では、艦の射程距離にずかずかと入り込むTMAが赤く表示されていた。 こちらの射程距離…すなわち、敵機からの攻撃射程距離の可能性も捨てきれない。 激しい警報が艦内に響き渡り、それと共にオペレーターのメインモニタには「UNKnow」の文字が点滅する 「み、未確認のTMAが1機、超高速で接近中…信じられません!」
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