161人が本棚に入れています
本棚に追加
「…どうしたん?」
涼の不安そうな声が陸の耳を包む。
「涼、やっぱり、千紗に智くんを…!」
「アカン。」
逢わせてやりたい。
もうあたしは傍観者じゃない。
第三者でもない。
嫌でも関わってしまったのだから。
それを、涼は知っているはずなのに、何故?
背筋が、ひゅっと吹きかけられたように冷たくなった。
「もう智也は俺らの言うことなんて聞かん。一人で逝く気や、千紗にも自分にも後悔したないんや。」
「どうして!?あたしと同じ意見だったんじゃないの?」
声を荒げた。
はぁはぁ、という不規則な息遣いだけが廊下に響く。
薄暗い照明に罪悪感を駆り出されているみたいで、
怖かった。
最初のコメントを投稿しよう!