強さ

10/23
前へ
/171ページ
次へ
「…もう、ワケ分かんないよ…。」 陸のすすり泣く声が電話越しに響く。 ー俺だって、着いていけへんわ、2人の言うことやる事に。 ーそれでもこうやって庇おうとするのは、「仲間」やから。 「陸、泣かんで。今大学なんやろ?文化祭の準備て…千紗も居るんやから。」 「っ…あんな、毎日毎日ボロボロになってく千紗に、あたしが耐えられなくなるのよ。」 いつか、気が付いたら千紗まで居なくなりそう。 恐れていたんだ、今度は、今度の番は、自分が待ってなければいけないんじゃないかって。 自分もいつか、かつての仲間を孤独で待っていなければいけないのかもしれない。 そう思うと、あたしはとてつもなく卑怯だ。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加