強さ

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「嘘じゃないの?だって、千紗ちゃんが一番知ってるじゃんっ…!」 前の列に座っていた子。その子は陰ながらあたし達を応援してくれた子で。 泣きそうな表情でそう言われ、千紗の心の奥でどろり、と何かの熱が落ちた。 「そうじゃーん!昨日、廊下で『何で智くんが白血病にならなきゃいけなかったの』って言ってたじゃなぁい。」 何故か嬉しそうに、だが表情は冷たさに満ちている。 ー「知らない子」じゃない。この子、智也を良く見てた子だ…。 そう、翡翠加奈子。高校の中で一番お金を持ってたお嬢様ってやつ。 金に物を言わせて男を誑かすって噂だったけど…智也は掛からなかったから、嘘だって思ってた。 でもこの声で、彼女は腹黒いのだと感じた。
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