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「千紗、落ち着いて?」
あたしが千紗の前に座る。
千紗はとっさにプリクラを握り締めていた。
「智也を忘れることなんて出来ないっ…!」
千紗は顔をうつ伏せて声を引きつらせて泣き出した。
寮の床が透明な雫を受け止めてゆく。
ー智くん、千紗は貴方を想って泣いてるよ?
ーあの判断は本当に正しかったの?
高校3年生の冬、智くんは真っ白い記憶の中、千紗の前からこつ然と消えた。
真実を知っているのは千紗と智くん以外の4人。
千紗は大学に入った今でも智くんのことを忘れられないでいる。
実家の自分の部屋には智くんの思い出が詰まりすぎていて戻れないのだと。
ー智くん、貴方は
ー千紗の居ない今を幸せと思って居ますか?
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