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「千紗、じゃあ、な。」 そう言って去っていった智也。 白い息と雪に包まれた顔。赤い鼻が目立っていた。 あの時の「じゃあな」は何を意味していたのだろう。 どうして智也は私の前から姿を消したの? あの時のマフラーを、 あの時の髪を、 あの時の貴方を、 掴んでいれば私は泣かないですんだのかな? 痛いよ、智也。 心が、 痛い。
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