Sな彼女

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Sな彼女

「ねえ!桜子さんって呼んで」 「はぁ!?」 あたしの突然のお願い(?)に、汰朗は呆気に取られている。 汰朗は3つ年下の可愛い彼氏で、ついついいじめたくなっちゃうんだよね。 「何言ってんの?」 冷たくそう言い放つと、汰朗は止めていた手を動かしだしCDの整理を始めた。 聞き流す作戦だ。 「良いじゃん!ちょっとだけでいいからぁ」 あたしは顔の前で両手を合わせて、汰朗を上目遣いに見る。 「……ッ」 汰朗はあたしのこの仕草に弱いのだ。 あたしはそれを心得てるから、汰朗があたしのお願いを断ることは今までなかった。 「だぁぁぁぁ―――ッ」 ほらね。 案の定、汰朗は叫びながらも既に戦意喪失。 もう一押しだ! 「汰朗ちゃん、お願い」 しかめっ面の汰朗のおでこに、自分のおでこをくっつける。 「だぁぁ!わかったよ」 渋々了解する汰朗。 照れて真っ赤になる汰朗を見て、満たされるあたし。 「ありがとう!じゃあ早速お願い」 「う、うん」 恋愛経験の少ない汰朗は、この位で動揺するから楽しい。 汰朗は大きく深呼吸すると、意を決したように口を開いた。 「さ、桜子さん」 既に真っ赤だったにも関わらず、さらに耳まで真っ赤になった汰朗に、あたしのボルテージは最高潮に達した。 次は―― 何を言って困らせちゃおうかな? ❤End  
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