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一週間くらい経ったと思ったら、
蝉は僕の話し相手にはならなくなりました。
というのも、みんな死んでしまったから。
僕の家の庭、
ベランダ、
網戸、
木、
石段、
そこらじゅう、あらゆる場所で
足を綺麗に体の中へしまって、
蟻に、
「どうか僕を食べて下さい。」
と言わんばかりに
無防備に寝転がっていた。
今日で、久々に眠れる。
そう思って寝床についた。
眠れなかった。
それが僕の不眠症の始まり。
蝉のささやかな贈り物だった。
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