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『麻美先輩、今日コンパあるんだけど行きませんかぁ?』
後輩から明らかに人数合わせのために誘われたコンパを私は嘘の用事をつくって断った。
クリスマスだっていうのに今日もひとりぼっちかぁ…
仕事も終わり会社を後にした私は、誰もいないアパートに真っ直ぐ帰るのが嫌で電車で隣町まで足を運び目だけで買い物を楽しんだ。
クリスマスのイルミネーションや恋人たちの楽しそうな笑い声が私にとってはとても目障りだった。
切ないなぁ…
なんだか一人でいることが急に淋しくなった私はふとまわりを見渡した…
ん?
あんなところで占いなんかやってたっけ?
道の片隅で小さいテーブルに占い師だけの占いの館なるものがあった。
『あなたの未来…教えます』
怪しいっ!怪しすぎる…
所詮占いなんて信用していない、いや全く信じてないといったら嘘になるかな…
つまりは自分に都合のいいことだけ信じるのだ。
彼氏は当分現れません…
言われれば占いなんてと信じないし、
素敵な人が現れます…
聞けば素直に喜ぶ。
でも今日はなんだか占いをしてもらいたい気分だった…
暇だし、コンパに行かなかった分無駄なお金使わなくて済んだし…
しかしその占いの館はいかにも流行っておらず、周りに人は誰もいない…
館はまるで私にしか見えていないかのように傍を通る人たちも全く気付く様子もなくひっそりと佇んでいた…
私はその妖しい雰囲気にすっかり見入ってしまい身体を操られ糸で引かれるように館に近づいていった。
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