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私は混乱した…     つい数分前に殺されたはずの厚くんが私の目の前に立っていたのだから…     『あ、あ、あの人形は?』    私が厚くんに聞くと厚くんはニヤリと笑って     『まぁ座りなよ。』       と私の背後から肩に手をかけソファーに座らせた。     『麻美の人形あれから帰ってきてすぐに作ったんだよ…最初のうちは掃除してくれたりしてたんだけど途中からあいつ変なこと言い出してさ。       麻美は僕のだ…絶対に渡さない!       なんて真剣な顔して言うんだぜ。       しかも俺が麻美の部屋に忍び込んでアルバムの写真にカッターで傷つけたとか携帯壊したとか言い出すんだよ。       だから…殺してやった…』       『人形だから血なんか出なくてつまんなかったけどさー。いっぱい刺してすっきりしたし、下のゴミ捨て場にさっき捨ててきたよ。』       私は身体から血の気がさーっとひいていくのがわかった。       厚くんの異常さに気付いた良一は私のために、私を守るためにあんなに心配してくれてたんだ… でも人形だから私の首を締めたりあんな不器用な形でしか愛を表現できなかったんだ… 私の心が厚くんのところにいかないように必死で引き止めててくれたんだね…   今更だけどやっとわかったよ…
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