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『いらっしゃいませ』
占い師は俯いて紫色のベールをつけたまま顔も上げずにこう言った。
『みてもらいたいんですが、おいくらですか?』
すると占い師は
『お金はいただきません』
とポツリとそう言って紙とペンを私に差し出した。
『ここに名前と生年月日を記入してください』
言われるがままに私は
名前と生年月日を書き込んだ。
占い師はおもむろにテーブルの下からカードを取り出しシャッフルしてから一山にまとめ、そのカードの上でさっき私が記入した紙に火をつけた…
カードの上で紙は跡形もなく消え去った。
そのあとで私に好きなカードを一枚選ぶように言った。
カードを選ぶと占い師はその選ばれたカードをめくり顔をあげた。
『あなたには近い将来に素敵なプレゼントが届くでしょう』
それだけ告げると早々に占い師は片付けを始めた…
『以上です』
プレゼント?意味わかんないし…やっぱり無料の占いだからこんなもんなのかなぁ…
私は再び占い師の顔をみると…
ん?笑ってる?
占い師は少し俯いて笑うと言うよりは失笑していた…私は急に不気味になり、
『ありがとうございました』
とだけお礼をすると足早にその場を去った…
50メートルほど歩いてから振り返ると…
占いの館はそこにはもうなかったのだ。
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