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特に何もない部屋だった。
リビングのソファーに座って周りを見渡したが、とにかく生活感がない。
「どーぞ。」
カチャンと音を立てて男はコーヒーカップをテーブルに置いた。
「あまり緊張しないで。楽にして下さい。ああ見えて雅人は優しいから。」
隣りに座る東和さんがにっこり微笑む。
「んで、本題に入るけど。」
雅人は私の前の椅子に腰掛けた。
「俺に協力を要請するのはなんで?」
真っ直ぐな目線に、思わず目を逸らしたくなった。
それを堪えて、小さく息を吸い込む。
ここが、運命の別れ道だ。
「自殺したと言われている友人の家にあったパソコンです。」
私は由香の家から持ってきたノートパソコンを雅人の前に差し出した。
「このパソコンは1ヶ月前に私がウィルスバスターのダウンロードしたばかりです。それなのに、誰も手を触れないのに勝手に起動しました。つまり、何らかのウィルスが侵入したか、ハッキングされてるってことです。」
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