感染ー1ー

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特に何もない部屋だった。 リビングのソファーに座って周りを見渡したが、とにかく生活感がない。 「どーぞ。」 カチャンと音を立てて男はコーヒーカップをテーブルに置いた。 「あまり緊張しないで。楽にして下さい。ああ見えて雅人は優しいから。」 隣りに座る東和さんがにっこり微笑む。 「んで、本題に入るけど。」 雅人は私の前の椅子に腰掛けた。 「俺に協力を要請するのはなんで?」 真っ直ぐな目線に、思わず目を逸らしたくなった。 それを堪えて、小さく息を吸い込む。 ここが、運命の別れ道だ。 「自殺したと言われている友人の家にあったパソコンです。」 私は由香の家から持ってきたノートパソコンを雅人の前に差し出した。 「このパソコンは1ヶ月前に私がウィルスバスターのダウンロードしたばかりです。それなのに、誰も手を触れないのに勝手に起動しました。つまり、何らかのウィルスが侵入したか、ハッキングされてるってことです。」
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