感染ー1ー

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告別式が終わると、警察に呼び止められた。 「本庄奈々さんですね?」 ドラマのように警察手帳を見せられた。 私は泣き腫らした目を擦り、小さく頷く。 「少々お聞きしたいことがあるんですが。よろしいですか?」 「…はい。」 「由香さんにここ最近何か変わった様子はありましたか?」 警察官の質問に私は首を横に振る。 「ありません。」 「何かを苦にしていたとか…」 「ありません。有り得ません!」 私は刑事の声を遮るように大声で叫んだ。 由香の死因は出血多量だった。身体中をナイフでめった刺しにされていたのだ。しかし凶器のナイフは、 由香が握っていた。
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