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その後、由香のお母さんに由香の部屋に寄っていって欲しいと言われた。
「奈々ちゃんが来たら、きっと由香も喜ぶと思うから…。」
そう言って由香のお母さんは涙ぐむ。
私は頷いた。きっと、一人で部屋に入るのが怖いのだろう。
斎場から車で10分で由香の家についた。
「ごめんなさいね、付き合わせてしまって。」
「いえ、大丈夫です。」
階段を上っていく。
つい先日までよく来ていた由香の部屋。
今日はなんだか初めて来る場所みたいに変にソワソワした。
階段を上りきると、すぐ由香の部屋がある。
「開けるわね。」
由香のお母さんはガチャリとドアノブを捻った。
キィ…
ドアが開く。
ギュッと掌を握り、覚悟を決めて部屋を覗いた。
「…!」
思わず固まってしまった。
部屋はいつも通り片付いていて、荒らされた様子はカケラもない。
ただ一つ異なっていたのは、
「カーペットが、なくなってる…。」
白いカーペットが敷いてあったはずなのに、黒いカーペットが敷いてあった。
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