【第一話】片思い

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アタシは高校を中退し 親のコネで 花の会社に就職。 そこそこ大きな会社で 社員は150人を 越えていて バイトを合わすと 200人を越えていた。 事務員は 1番年の近い人でも 5つ離れていて 周りの先輩達が すごく大人に見えた。 …アタシも20代半ばに なったら、こんなけ 落ち着けるんかな…? 趣味はボディーボード とパラパラ。 冬は日サロに行って 焼いていた。 ヤマンバじゃないけど… 事務員の中で アタシはかなり 浮いているのが解る。 「海なんか行ったらシミできるでぇ!!」 「金出して黒くしたい理由って何?!」 「パラパラっておもろいん?ワラ」 全否定…。 当時、安室奈美恵が 流行りの先端。 自分の事を アムラーとかギャルとは 思ってなかったけど 眉毛が細かったり 髪の毛はメッシュで、 色も黒かったせいか 今時の子と言われ 何かと言うとすぐに 「若いからなぁ」 「まだ18やもんなぁ」 と子供扱いされる。 この会社は 短大学卒業以上の 学歴を持つ人しかいない。 高校中退し、 高校3年の年に 働きだしたんやから 同世代がいなくて当然。 アタシは新人で 1番年下と言う事もあり 誰よりも早く出勤し、 まわりの机を拭いたり ゴミの処理など、 周りの先輩が嫌がる事を 進んでするように頑張っていた。 給料もそこそこ よかった為に面接には たくさんの人が来る。 先輩達は 大学や短大を卒業し その面接を 勝ち取った人達。 高校中退で、 しかもコネで 入社したアタシを よく思わなくて当然。 唯一の救いが イトコがこの会社の 営業で、事務員にそこそこ 人気があった事。 そのイトコがいたから アタシに 文句を言ってきたり イジメ紛いな事を する人間はいなかった。 でも…。 仲良くなれる気配もなく 次の就職先を 見つけたら辞めようと、 軽い考えでいた。 でも、せめてイトコに 迷惑のかからん様に 働いてる内は自分にできる 精一杯の事をしよう。 と思った。 働きだして間がなく 仕事はまだまだ できへんし…。 今のアタシには 机拭きなどの雑用をして 好感度をあげる事位しか ないかな…って。 まだまだ若い子供が 精一杯考えた答え。
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