始まり

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『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ』 春から夏にかけてくるどんよりとした梅雨が日本全体にかかる頃… 男は逃げていた。必死に、必死に。 『やっちまった………でもこれで………』 ポタ…ポタ…ポタ、ポタ、 ザァー 梅雨特有のうだるような雨が降り出した。 『最低…ビショビショじゃん…』 一人の女がこの雨から逃げるためビルの軒の下にきた。 『どうやって帰れっていうのよ!?……………あれ?』 バシャ、バシャ…… 女は男が雨の中、闇に消えていくのを見ていた アネモネが咲き乱れるそんな夏の始まりだった…
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