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「手当て終わったょ?」
上目遣いに見てくる翠爛…――
素直に可愛いと思うし、
抱き寄せてキスだってしたい。
だが…
今ここで出ていくなら、
翠爛にとっても
俺にとっても……
最良とは言えない。
「あぁ……すまない。」
そう言うと…
「い~え♪」
と溌剌<ハツラツ>とした笑顔で笑う翠爛。
それを真顔で受け止めて……
「用事があるから行ってくる。」
「ぇ…ッ?!!ぁ…うん。行ってらっしゃい。」
一度、扉の方に歩きながらただ…
「あぁ。」
とだけ言って歩き…
パタンッ…
と扉を閉め…
瞼を綴じる……
走馬灯のように駆け巡る物を断ち切るかのように……
瞳<メ>を開き、
早足で歩き出す。
行き先は…
【【【月 瑛】】】
の元へ。
あそこに、
一緒に帰るべき者が居るだろうから…
.
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