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「そうだ。」 漸く、父上も真面目な顔をする。 きっと、 目が合った時にでも かけられたのだろう。 何も疑問を持たないように…―― 自分が、王太子で… 翠爛が次期、后になる者だと言う事。 つまり、この二人は結婚出来ないのだ。お互い同士は、各界を司り、守らなければならない立場。 その役目は、他人には決して任せる事は出来ないのだ。 それに術は一見、 案外普通で何ともないように聞こえるかもしれないが… 他人の心や思考に対しての術を使うには、 高い地位と… 勿論、知識も必要だ。 何故、高い地位が必要かは… 地位が高い者ほど、 それに応じ責任が生じ、 そこからは逃れたくても 逃れられない立場となる。 要するに、 クランにかけたような術や、記憶操作などを、 悪用等は出来ないのだ。 「そうか。なら、帰りましょうか……夜の世界に…――」 低く、冷めた声が… 部屋に響いた。
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