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ふぅ…
と息を吐いてから、
頭を“めいっぱい”に働かせる。
まず…
廊下は一本道。
部屋はあるけれど、
帰るのに部屋の中へ入るのはおかしい。
という事。
それと、
御祖父様の部屋に御祖父様がいらっしゃらなかったという事は……
御祖父様も、お見送りに行く筈だ。
庭園から見送るはずもなく……
ちゃんと、玄関から見送る筈であるし…
ゆっくりと向かっている筈だ。
急がなければならない。
と思うと同時に、
瀧を同行させると危険だと思った。
瀧を盗み見れば、
目には怒り宿っているからだ。
何をするか分からない。
「私は、向こうを探すわ。だから、瀧は反対方向を探しなさい。」
命令口調で言う。
有無を言わせない為に...
「はい。分かりました。」
と答えると、早足で指示された通りの道へ進んで行く。
「ょしッ…」
と、言うと……
ヒールのある靴を脱いで、
玄関のある方向へ走った…――
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