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「……~ックランッ!!」
後ろから、
翠爛の叫び声ともつかないような大きな声で……
俺の名を呼んでいる声が聞こえた。
母上が…
「……あの時と同じ場所だわ...」
と呟いていた事に疑問を持ちながらも…
声の方に振り向くと...
肩で息をしている、
翠爛が居た…――
「クラン…何処、行くの?」
涙目で喋る翠爛。
抱きしめて…
“何処にも行かない。”
と囁いてキスして……
安心させてやりたい...
だけど、
したくても出来なくて…
「父上、母上、行きましょう。瑛殿下は、ここで結構ですから…ありがとうございました。」
口早に言って、
漆黒の翼を広げ…
窓から飛び立つしかない。
別れを言ってしまえば良い…――
翠爛など遊びだったと、暇潰しだったと嘘をついてしまえば良い……
だけど、
“嘘”でもそんな事は言えないんだ。
翠爛に忘れて欲しくないから…
記憶操作もしない。
勝手だって分かってるんだ。
ただ一言、
愛する君に言いたい…
ごめん。
愛している。
俺の事忘れないでくれ。
最後に…
幸せになってくれ…――
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