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数日後―
☆人間界☆
「満殿下ッ!!!ヴァンパイア界へ遣いへ出して頂きたく存じます。」
小ホールに瀧の、
微かに怒りの篭った言葉が響く。
「……何故、ヴァンパイア界に遣わせなければならんのだ。今回の事はもう終わった事。それに…主は、翠爛の護衛官だろうて…翠爛の護衛を続けよ。」
そんな瀧の言葉を、
許可しない満殿下。
しかし、
瀧はそこからは退かず…
「お言葉ですが…姫様の護衛は御命だけではなく姫様の御心もお守りするものだと勝手ながら思っております。」
「何が言いたいのだ。」
冷たく、
低く声が響く。
「このままでは、月姫様はお体を壊し……床に伏してしまいます。行かせて下さい。」
“身体を壊す。”
など、嘘に近い。
そこまで、
ご自分を追い詰めてはいないし……
一日中、
ボーッ……
としてらっしゃるだけだ。
ヴァンパイア界に行きたい理由…――
それは…
クランをどんな嘘を付いても連れ戻す事だ。
「お願い致します。」
頭を深々と下げた。
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